(2) 日本戦跡探訪 薩摩菓子 富久屋
特攻機は上空を旋回して南の空に消えた
海軍タルト
海軍タルトというお菓子をご存知の方はあまりいないかもしれません。
この海軍タルトとは、薩摩菓子 富久屋で現在(2020年)販売されているものです。
一見するとありがちなお菓子に見える海軍タルトですが歴史を辿ると見え方が変わってきます。
この海軍タルトは太平洋戦争中、鹿屋海軍航空基地より出撃した特攻機搭乗員に渡されたお菓子を現代に再現したものだそうです。
そのため操縦桿を握りながらも片手で食べられるよう、このような形をしています。
つまり、海軍タルトは鹿屋基地を出撃した特攻機搭乗員が最期に口にした食事と言えるかもしれません。何もかもが不足していた戦時中にこのお菓子を作るのは大変なことだったそうで、特攻機搭乗員のためになんとか拵えたものだったようです。
搭乗員は機内で何を思ったのでしょうか。
筆者が鹿屋で頂いた海軍タルトはしっとりとした優しい味をしておりました。
富久屋さんでは海軍タルトの売り上げで、鹿屋航空基地より出撃散華された908名の戦没者の灯籠の建立を目指されているそうです。
この灯籠の建立が叶うことを願ってやみません。
写真は薩摩菓子処 富久屋さんの近くの商店街。
どこかゆったりとした時間の流れを感じる。