「四国における旧海軍戦跡調査」5
「四国における旧海軍戦跡調査」
第343海軍航空隊所属 偵察機彩雲 墜落の地
三魂之塔
この慰霊碑は第343海軍航空隊に所属していた偵察機が墜落した場所に地域の住人が建立したものである。
同偵察機は大戦中、太平洋方面より侵入した敵航空機群の侵入を報告した際にエンジンが故障。
離脱する予定であったが別に侵入する敵編隊を発見した。
敵の侵入する高度や方角、機数や機種を報告するために離脱を断念して基地に連絡を続けた。
同機は基地と連絡中に敵の護衛戦闘機による追撃を受けて被弾。
追い詰められた同機は基地に「我突入ス」と連絡した後に消息を絶った。
後に同機は敵の編隊の中の一機と刺し違えて四国の山中に墜落していたことが判明。
見つかった搭乗員の遺体は偵察員、機銃員が銃撃により被弾しており操縦員も突入の衝撃を見ることができた。
中でも偵察員は突入の瞬間まで通信機を送信していたため、銃撃による負傷の中で基地に最期を送信していたとみられる。
ちなみに迎撃戦は同機からの情報により日本軍有利に展開され、多数の米軍機が撃墜された。
この塔は捜索にあたった村人は三人の搭乗員の勇気を讃え、有志でこの慰霊碑を建立したものである。
未だに誰かの手によって手入れがされている。
雄大な四国の大地に抱かれるようにして眠っている。